2025年における成長率上位・下位のフルサービスレストラン市場
急成長しているフルサービスレストラン市場と衰退しているフルサービスレストラン市場（2024年～2025年の見通し）
フルサービスレストラン（FSR） – テーブルサービスを提供する着席型飲食店 – は世界的に回復していますが、その成長は国によって大きく異なります。本レポートでは、2024年～2025年以降の収益動向と予測に基づき、FSR市場の成長率上位5か国と、FSR市場の衰退率（または成長率の低い）上位5か国に焦点を当てます。最新の入手可能なデータと業界予測を引用し、フルサービスレストラン（クイックサービスやその他の形式を除く）のみに焦点を当てています。観光ブームや中間層の増加から、高齢化やインフレまで、各国の主要なマクロ要因について解説します。
サマリー表：成長率上位5か国と衰退率上位5か国のFSR市場
| 国 | 2024年のFSR収益/成長率 | 2025年～2030年の見通し |
|---|---|---|
| インド（成長） | 約700億ドル（2023/24年のフードサービス市場全体）；FSRセグメントが急増 | 2025年までに約957億ドルに達すると予測（年平均成長率約10％）；中間層の増加と都市化が牽引 |
| インドネシア（成長） | 2024年に約290億ドル（FSR売上高）、2022年の約240億ドルから増加 | 2030年までフードサービスで年平均成長率約13％；若年層の人口と観光がFSRを牽引 |
| ベトナム（成長） | 2024年に約219億ドル（フードサービス市場価値） | 年平均成長率約9.7％（2025年～2033年）；若年層の消費者、都市部の外食文化がフルサービスの需要を押し上げ |
| サウジアラビア（成長） | 2024年に約300億ドルと推定（FSR市場）；急速な成長が進行中 | 2030年までに約468億ドル（2024年～30年の年平均成長率8.6％）；所得増加、若年層の人口、観光（ビジョン2030）が牽引 |
| UAE（成長） | ドバイの高級レストランセグメントで前年比47％増（2024年初頭） | 強力な観光戦略（観光2031）がUAEの都市（ドバイ、アブダビ）でのFSRの継続的な拡大を牽引 |
| イギリス（衰退） | 消費者が支出を削減したため、2023年のレストラン支出は–6.7％ | 見通しは弱気；生活費の圧迫により、外食客はより安価な選択肢（パブ+5.9％、ファストフード+8.1％、2023年）に移行 |
| ドイツ（衰退） | 名目上は+0.6％の増加にもかかわらず、2024年の実質収益は–2.6％減少 | 高インフレとVATの引き上げがFSRの回復を抑制；2024年の売上高は実質ベースで2019年より約15％低い水準 |
| イタリア（衰退） | 長引く回復；2019年～2024年のFSR市場は年平均成長率–10.3％（テイクアウトを含む） | パンデミック後の回復は緩慢；高齢化と経済の停滞が長期的なFSRの成長を制限（観光はいくらか助けになる） |
| 日本（停滞） | 2023年のFSR売上高は2019年の水準に戻る（チェーンFSRで約215億ドル） | 今後の成長は最小限（2028年まで年平均成長率約3.0％）；高齢化社会と労働力不足がFSRの拡大を抑制 |
| アメリカ（横ばい） | 2023年のフードサービス全体で8,550億ドル；2022年比で実質成長率–0.1％ | 2024年に緩やかな成長が再開したが、フルサービスセグメントは飽和状態と高い運営コストに直面（実質成長率はほぼ0％） |
FSR市場の成長率上位5か国
1. インド – 国内需要の急増
インドのフルサービスレストラン部門は、巨大な人口と所得の増加に牽引され、世界で最も急速に成長している部門の1つです。インドのフードサービス市場全体は2023年に約700億ドルであり、2025年までに約958億ドルに達すると予測されており、年間の成長率は約10％です。この急速な拡大は、強力なマクロ要因、つまり中間層の増加と都市化、可処分所得が増加している若年層の人口構成、外食文化の急増によって支えられています。業界分析によると、インドのレストラン業界は「幾何学的に」成長しており、その理由は「巨大な人口」と観光客の増加によるものです。フルサービスレストラン（特にカジュアルダイニング）は、主要な大都市と中小都市の両方で拡大しています。インド全国レストラン協会は、より多くの非公式な飲食店が正式化され、新しい組織化されたチェーンが市場に参入するにつれて、堅調な成長を予測しています。全体として、インドのFSRの見通しは、今後5〜10年間は非常に良好であり、人口構成と経済発展によって2桁の成長が促進されます。
2. インドネシア – パンデミック後の回復と中間層の増加
インドネシアのフルサービスレストラン業界は、力強い回復と成長を遂げています。2024年には、FSRの売上高は約290億ドルに達し、2022年の約240億ドルから増加しました。この復活は、パンデミックによる落ち込み（FSR部門の価値は2020〜21年に低下）に続くものであり、外食に対する消費者の信頼回復を反映しています。独立系レストランが回復を主導し、一部のチェーン店が成長の鈍化を見せる中でも、プラスの売上を維持しています。長期的には、インドネシアの大規模な若年層の人口と拡大する中間層は、FSRの需要にとって良い兆候です。フルサービスレストランは、**2022年のインドネシアのフードサービス市場の約54％**を占めており、その文化的重要性を示しています。業界の予測では、インドネシアのフードサービス市場全体が2025年から2030年まで年間約13％成長すると予測されており、これは世界で最も高い成長率の1つであり、FSRはこの波に乗るでしょう。主な要因には、急速な都市化、進化する消費者の好み、観光が含まれます。同国は2022年に700万人以上の外国人観光客を迎え、バリなどの観光地はレストランの成長を促進しています。所得の増加により、より多くのインドネシア人が頻繁に外食できるようになり、インドネシアは今後10年間でトップの成長FSR市場であり続ける態勢を整えています。
3. ベトナム – 外食の高い成長を伴う新興市場
ベトナムのフルサービスダイニングセグメントは、経済発展とライフスタイルの進化を背景に力強く成長しています。ベトナムのフードサービス市場は2024年に約219億ドルと評価され、2033年までに2倍以上の約540億ドルに達すると予測されています（年平均成長率約9.7％）。これは、フルサービス形式を含むレストランの収益が持続的に高い成長を遂げることを意味します。都市化の進展と若年層の人口（平均年齢約32歳）が、より頻繁な外食を促進しており、所得は着実に上昇しています。ベトナムの中間層が拡大するにつれて、消費者は多様な料理体験を求めており、地元のカジュアルな飲食店から新しい外国料理レストランまで、あらゆるものを後押ししています。さらに、国内外のレストランチェーンによる投資が業界の拡大を加速させています。マクロ経済の追い風（GDP成長、観光（パンデミック前、ベトナムは観光ブームを経験）、家庭外での食品への消費者支出の増加）はすべて、フルサービスレストランの堅調な見通しを支えています。業界関係者は、ベトナムは今後数年間で年間約8〜10％の成長を遂げ、「F&Bで継続的な成長を遂げる態勢を整えている」と指摘しています。全体として、ベトナムは、インドやインドネシアと同様の人口動態と経済動向に牽引され、アジアで急速に成長しているFSR市場として際立っています。
4. サウジアラビア – 経済の多角化の下での急速な成長
サウジアラビアのフルサービスレストラン業界は急速に拡大しており、政府主導の経済多角化と社会の変化によって支えられています。サウジアラビアは2022年にG20で最も急速に成長した経済であり、所得の増加と若年層の人口構成が外食需要の増加につながっています。業界の予測によると、サウジアラビアのレストラン市場（全体）は2030年までに約468億ドルに達し、2024年から2030年まで年平均成長率約8.6％で成長します。高級ダイニングやカジュアルダイニングなどのフルサービス形式は、ライフスタイルの変化に伴い、このトレンドの主な受益者となっています。主な要因には、中間層の増加、都市化、文化の変化が含まれます。若いサウジアラビア人はレストラン文化を受け入れており、女性の労働力参加の増加は、より多くの世帯が外食することを意味します。政府のビジョン2030イニシアチブと観光振興（新しいエンターテイメントハブ、緩和された社会規範、宗教観光の急増など）もフードサービスを促進しています。たとえば、サウジアラビアの店内飲食の収益は、2023年後半に7％の数量成長を示しました。インフレは世界的な要因ですが、サウジアラビアの消費者の購買力は向上しており、レストランへの支出の増加を支えています。継続的な投資（多くの湾岸地域のホスピタリティグループがレストランフランチャイズを拡大しています）と人口増加により、サウジアラビアは当面の間、最も急速に成長しているFSR市場の1つであり続けると予想されています。
5. アラブ首長国連邦 – 観光に牽引されたレストランブーム
UAE（特にドバイとアブダビ）は、観光と高い消費者支出に牽引されたレストランブームを経験しています。特にドバイでは、パンデミック後に劇的な急増が見られました。2024年初頭には、ドバイの高級レストランの収益が前年比で47％以上増加しました。これは、観光客とビジネス旅行者の大幅な流入、および裕福な地元および海外からの外食客を反映しています。UAE政府の野心的な観光戦略2031は、訪問者数を大幅に増やすことを目指しており、フルサービスレストランのさらなる成長を支援しています。ドバイは世界的なダイニングの目的地となり、そのホスピタリティ業界は需要を満たすために拡大しています。有名シェフのレストランから人気の地域チェーンまで、毎年何百もの新しいレストランがオープンしています。主な要因には、高い一人当たりGDP、多様な料理の好みを備えた大規模な外国人コミュニティ、およびホスピタリティセクターに対する政府の積極的な支援が含まれます。UAEがメガイベント（Expo 2020、貿易会議、スポーツイベント）と高級体験に焦点を当てていることも、FSRの売上を押し上げています。成長率は最初の回復後に正常化する可能性がありますが、業界の専門家は、UAEのフルサービスダイニングの平均以上の成長を依然として見込んでいます。市場は、持続的な観光成長、高い可処分所得、および高級レストランコンセプトへの投資から恩恵を受けるでしょう。
FSR市場の衰退率上位5か国または成長率の低いFSR市場
FSR市場の衰退率上位5か国または成長率の低いFSR市場
1. イギリス – 生活費の圧迫が外食を削減
イギリスのレストラン支出は2023年に6.7％減少しました。消費者はパブやファストフードなどのより安価な選択肢に乗り換えました。高インフレとエネルギーコストにより、イギリスのレストランは約2,000軒が閉店を余儀なくされました。フルサービスレストランは、予算が厳しくなると特に脆弱になります。
2. ドイツ – インフレと政策の課題が回復を停滞させる
2024年、ドイツのFSR業界は実質収益が2.6％減少しました。実質売上高は2019年の水準を約15.8％下回っています。VATの引き上げ、食品インフレ、景気後退の圧力により、FSRセクターは最も回復が遅れています。
3. イタリア – 回復の遅れと人口動態の逆風
イタリアのレストランとテイクアウト市場は、2019年から2024年の間に年平均成長率約10.3％縮小しました。高齢化、経済の停滞、国内需要の低迷が成長を妨げています。料理観光はいくらか回復を支援しますが、根深い構造的な弱点を相殺することはできません。
4. 日本 – 成長が限定的な成熟市場
日本のFSR収益は2019年の水準近くに戻っていますが、2028年まで年間約3.0％しか成長しないと予想されています。高齢化、人口減少、労働力不足により、成長は困難になっています。外食文化はテイクアウトとデリバリーに移行しています。
5. アメリカ – 飽和状態と好みの変化
アメリカのフードサービス市場は2023年に8,550億ドルに達しましたが、実質成長率は−0.1％でした。フルサービスセグメントは飽和状態です。消費者はQSRと宅配に惹かれています。家賃と人件費の上昇がマージンを圧迫しており、特に中堅チェーンにとってはそうです。
結論
世界のフルサービスレストラン業界は、二極化が進んでいます。アジアと中東の新興市場は、好ましい人口動態とマクロ経済の追い風により急速に成長しています。一方、多くの先進国経済は、高齢化、インフレ、消費者の行動の変化により、停滞または衰退に苦しんでいます。企業はそれに応じて戦略を調整する必要があります。高成長地域に投資して規模を拡大し、成熟した地域では革新または合理化する必要があります。
情報源
- Statista：レストランおよびフードサービス市場データ
- Euromonitor International：国別セクターレポート
- IBISWorld：国別のレストラン市場レポート
- Mordor Intelligence：世界のF&B市場トレンド
- 全米レストラン協会（アメリカ）
- Barclays UK消費者支出レポート
- Paperchase Middle East Hospitality Trends
- Reuters、The Munich Eye、The Hindu Business Line、Apicbase
